2025-08-08
今回はオーストラリアに移住したいと思うに至ったもっと以前の話で、オーストラリアに興味を持つきっかけとなった出来事について書きます。それは僕が高校 3 年生の時の、なんてことない 3 つの小さな出来事でした。
僕は埼玉県の県立高校に通っていて、それまで海外に関心がありませんでした。親戚や友達にも帰国子女だとか海外にゆかりのある人もいませんでした。それまでの僕の人生の中で海外っていうのは映画の中の世界でしかなく、全然自分の人生の中の実感として存在してなかったんですね。
そんな高校 3 年生のある日、ショートステイと言うか、短期留学と言うのか、確か 2 週間か 3 週間だったと思うんですけど、オーストラリアのケアンズから高校生が自分たちの高校にやってきたんです。その時すごく衝撃と動揺を感じて。
「あ、これが外国人か!」と。彼らは体ががっつりしていて、顔立ちも大人びていて、おどおどしていない。一方の自分たちと比較すると、自分たちは小柄で自信なさげでまるで小学生のよう。僕は衝撃と動揺を感じながら彼らに興味を持って、なんとかして話して仲良くなりたいなと思ったんですよね。で、もちろん高校 3 年生だから英語はそれまでずっと学校でもちろん勉強してきたんだけれども、話したいと思っても言葉が出てこないんですよね。僕も例にもれず、スピーキングや実際のコミュニケーションの練習は当時はまったくしてませんでした。それでも彼らの一人となんとか話そうと試みたんですよ。具体的にやり取りは全く忘れてしまったのだけど、たしか What sports do you like?とか聞いたのかな。そしたら彼らが発するネイティブ英語も一言もリスニングできなくて会話が成立しない。それでもなんとか次の話題を、と思うのだけど英語が出てこなくて。それがとても悔しくて。砂をかむような思いでした。「ああこの人たちと喋りたいな。喋れたら絶対楽しいな。」そう思っているうちに、彼らの滞在期間はあっという間に過ぎて彼らは母国へ帰ってしまいました。この高校 3 年生の時人生で初めて「英語を喋れるようになりたい!」と強く思ったんです。
2 つ目の出来事は大学入試の地理の勉強中に起こったことです。僕は国立大学受ける時に当時センター試験で社会科も受験科目の一つで、地理を選択しました。日本史とか世界史を覚えることが多くて大変そうだな、地理なら何とかなりそうだっていう消去法的な後ろ向きな考え方で選択したんです。その地理を勉強する中で引っ掛かったことがあって、世界地図を見回した時にどうしてもオーストラリア大陸だけ不自然というか不思議に思えたんですよね。「なんでこの東南アジアの南に英語を喋る白人の国が急にここにポツンと現れるんだろう。なんでアジア系の民族の国じゃないんだろう。大陸って大体複数の国に分割されるのに何でオーストラリアは一つの大陸に一つの国なんだろう。なんで大英帝国はそんな遠くまで囚人を運ぶ必要があったのだろう」とかとか、疑問に思ったんですよね。当時の僕は良くも悪くも学校で教えられたことに大して疑問を抱かず「それはそういうもの」と納得できてしまえるタイプで「なんでこうなるの?」と一々疑問に思わないタイプの生徒だったのだけど、このオーストラリアにまつわる地理、歴史にはなぜか強烈に疑問と興味を抱いたんです。今振り返ると、その時に自分で調べたらよかったじゃん、と思うのですが、結局当時は受験勉強優先で自主的に調べる事をしませんでした。ただ、その時抱いた疑問、興味、好奇心はずっと頭の片隅に残ってました。
3 つ目のきっかけは部活の顧問の先生が僕らの卒業に際して先生がくださったメッセージのうちの一つです。それは「海外へ行きなさい。海外を見てきなさい。君たちが見ている世界っていうのは、この広い広い世界のほんの一部でしかない。大学生のうちに世界の広さを自分の目で確かめなさい。」という趣旨のメッセージでした。その顧問の先生が普段僕ら部員に語り掛ける内容は部活動の文脈に沿うものであったので、そのような話が出てきて唐突な感じがしたのでよく覚えています。先生自身が海外経験豊富ではなかったと思うのですが、世界史の先生だったので説得力がありました。これが卒業間近の出来事だったので、以前の2つの出来事とリンクして「大学生になったら海外旅行に行こう!」と思いました。
オーストラリアの同世代の人たちと会って話せなくて悔しい思いをしたこと。オーストラリアという国に不思議な好奇心を感じたこと。そして恩師からのメッセージ。この 3 つがふわっと重なって、「英語を喋れるようになりたい。オーストラリア行きたい。どんな国なんだろうな。」っていう気持ちがグッと芽生えたんですね。その時はもちろん移住っていうところまでは全く考えもつかなかったんだけれども。移住したいと思った理由っていうのを考えていった時に、これらの経験が最初のきっかけ、移住に思いを馳せる「芽」になっていたんじゃないかなって思いました。
あなたにも、ほんの小さな経験やさりげない違和感、ふと芽生えた好奇心が、気付かぬうちに人生の大きな選択につながった――そんな経験はありませんか?人生を重ねてきた方なら、きっと思い当たることがあるはずです。若い世代の方は、まだ実感がないかもしれませんが、日々の中で感じる些細なモヤモヤやワクワクにぜひ耳を澄ませてみてください。それが、あなた自身の未来を彩る、「新しい芽」になるかもしれません。
さて、この話の展開だと、「僕はその後、大学生になりオーストラリアに行き…」と続きそうですが、実はそうとはならず…。
次の章をお楽しみに。